中国株/港湾セクターの全体評価は“ニュートラル”
世界的な景気減速の余波は避けられず
中国経済の牽引役にも暗雲が・・・!
中国株の最新レーティング。今週(4月28日号)はセクター分析として港湾関連を取り上げた。
週明け27日の香港市場は反落。機関投資家の手仕舞い売りでA株が大きく下げたところに、豚インフルエンザ感染拡大という悪材料が加わり、終日、下値を探る展開。ハンセン指数は前営業日比2.74%安の14840.42ポイント。H株指数も同3.76%安の8641.43ポイントとなった。
「北米での豚インフルエンザ感染拡大の報道が、02年から03年にかけて香港.中国で大きな被害を出したSARS(重症急性呼吸器症候群)を連想させ、地元投資家を中心に売りを誘った模様」(地元のディーラー)
「新IPO(新規公開)弁法が5月初めに発表され、半月ほど意見の聞き取りが行われた後、同月中旬には再開第1号案件として光大証券のIPOが行われる」との報道を受け、A株では需給懸念がふたたび台頭、香港市場にも一定の影響が出そうだが、ここは絶好の押し目どころ、と考えたい。なぜならIPOの活性化は上昇相場を醸成するからだ。A株などは06年6月に中国銀行が上場したのを皮切りに、大型IPOが相次ぎ、新規資金の流入に拍車がかかり、07年の急騰相場につながった。香港市場も02年から07年にかけて長いブル相場が続いたが、その背景には欧米の機関投資家による積極的なIPOの展開がある。
「政府がIPO再開の姿勢を示したのは、株式市場に資金が流入し始めていることを確認したから。IPOにより短期間で利益を得た投資家がその資金で別の株を買えば、資金流入に弾みが付く。IPOの再開はむしろ投資マインド改善のサイン」(上海の証券アナリスト)
■港湾セクター:急速に減少する中国の貿易量
評価:ニュートラル
IMF(国際通貨基金)は09年の世界経済の成長率予想を-0.6%へ再度、下方修正。中国の貿易量も思わしくなく、08年11月単月の貿易額は輸出が前年同月比-2.2%、輸入が-17.9%と、7年ぶりにマイナス成長に転落。その後も09年3月の輸出、輸入量は前年同月からそれぞれ17.1%、25.1%の減少。貿易黒字額も185億6000万元に縮小するなど、縮小傾向に歯止めがかかっていない。
この事態を想定してか、中国政府は08年下半期に3度にわたって輸出税の還付比率を引き上げた(実質的な輸出税の減額)ほか、09年1月1日には再度、関税率そのものを引き下げるなど、さまざまなテコ入れ策を実施しているものの、世界的な景気低迷にともなう貿易量の縮小は如何ともし難いのが現状。香港に上場する関連企業の収益の伸びも一服すると予想されることから、このセクターの評価は「ニュートラル」とする。
■関連企業の業績は今後、伸び悩みか!?
◆招商局国際(00144)
「虹老人碑塗料」の株式売却による特別利益や、22.7%の権益を保有する国際コンテナ(上海B、200039)からの利益貢献が見込めるものの、売上高の約8割を占める深セン、上海、香港での貨物扱量が世界的な景気低迷を受けてダウン。09年から向こう2年間の収益はマイナス成長となりそう。よって当面のレーティングを「ニュートラル」。ターゲットプライスを16.0香港ドルに置く。
◆中遠太平洋(01199)
08の純利益は前年比-35.8%の2億7500万米ドルと事前予想を下回った。中国の貿易量の縮小を受け、コンテナリース事業の利用率は今後、下降傾向となろう。同社はギリシャなど海外で埠頭建設を進めているが、具体的に業績に寄与するまでには一段の時間が必要。目先の収益は厳しいものが予想される。よって評価は「削減」とし、7.6香港ドルを目標株価とする。
◆大連港(02880)
同社では、売上全体に占めるコンテナ埠頭業務の割合は約4割と低いため、需要減が業績に与える影響は他社より軽い。渤海湾の入り口に位置する大連港は東北地方の重要な貿易港であり、中国の4大戦略石油備蓄基地の一つとして、重点開発対象にもなっているため、今後は関連施設のレンタル収入増が見込める。08年の純利益は前年比27.5%の増となった。よって評価を「押し目」、目標価格を3.1香港ドルに設定する。
◆天津港発展(03382)
07年7月に天津港集団から買収した北港池A段のコンテナ埠頭は黒字化したが、その収益は同社全体の5%程度に過ぎないため、業績への影響は限定的。APモラー・マークスなどと共同で開発に当たっている「北港池B段」のコンテナバースも世界的な景気減速を受け、計画の延期を強いられそうだ。現在の株価は09年予想PER(株価収益率)約14倍と、セクターのなかで最も高く、割高感は否めない。そのためターゲットプライスを1.80香港ドル、評価は「ニュートラル」とする。
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提供:週刊ベンチャーインテリジェンス
(China Press 2009年5月7日)
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